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Y2Kがらみのレセコン入れ替えやパソコンの進歩で今年は当院のようにシステム構築に多忙な医院も多いのではないだろうか。あるいは最初から「コンピュータなどという面倒なものは一切使用する気がない」といった主義の方もおられるであろう。私自身は進歩しないと気がすまない好奇心の固まりのような人間なので逆に現状に常にとどまろうとする人たちがうらやましかったりもする。また情報化には金がかかるが、そんなことに金を使うのはもったいないといった声も聴く。このあたり、診療内容の違いや医院経営者の人それぞれだと思う。
◎ちょうどそんな時期に厚生省が医療情報の電子保存(電子カルテ)を認めた。しかも制約のような内容は詳しく規定されていない。「積極的な人は自己責任でどうぞ!」ということらしい。少し前まではカルテはB5でないといけないとかゴム印で指導内容を記載してはだめとか、つまらない規定があった世界なので、なにやら一貫性がないが、ま、いいか。
◎音楽や画像作成とインターネット中心にお気楽にマックをつかっていた私だが、「少しは仕事にもつかわないといけないなあ」と思い直し、今年に入って、医薬品データベースのCD-ROMとファイルメーカーPro4.0を購入した。紹介状、診断書などを発行するプログラムもファイルメーカーで作ってみたが、こういったパソコンの使い方は正解であることを再確認した。このレベルまでのパソコン活用はパソコン初心者の方にもおすすめできる。
◎私にとって紙カルテは病名の記入やチェック、Do処方内容の確認、分厚くなったカルテの更新などが非常にめんどうで困っていた。様々な疾患を扱う内科だからこそ余計に面倒なのかもしれない。私としてはこのあたりを便利にできるなら電子カルテもいいだろうなと思う。しかし紙カルテの殴り書きとゴム印のインターフェースは捨て難い!万年筆を使うようなマニアックな先生方には余計にそうかもしれない。
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そもそも私自身はパソコン歴は長いものの、仕事に多用すると疲れるので開業以来は表計算で給与計算をしたりビラをつくったりする程度の利用にとどめていた。コンピューターはもともと計算機、使うものであって使われてはならないというのが持論である。話はさかのぼるが、勤務医のころMS-DOS上でdBaseや一太郎を愛用し、勤務先の病院の内視鏡カルテ管理ソフトをプログラムしたこともある。これには完全にはまってしまって寝てもさめてもプログラムのことばかり考えていた。その後勤め先が変わったのだが、その病院ではマックユーザが多かった。MS-DOSでは画像を取り込むことなどできない時代だったが、マックでは学会発表用のスライド作成までできた。非常に高価だったので並行輸入のマックを使っている人が多かったが。開業時には迷わず高価なマッキントッシュ、スキャナー、レーザープリンターとファイルメーカーを購入することになった。
◎開業から3年後の1995年、阪神大震災を経験した。当時使用していたマッキントッシュ2ciを乗せていた机は半壊し、上には重いロッカーが倒れてマシンに激突していたが、驚いたことに2ciはかすり傷のみであった。(本当に丈夫に作ってある!)一方透視装置や現像装置は地震に弱く、壊れてしまったし、建物の壁面などの損傷も激しかった。カルテは現像液に浸っていた。いまでも2ciは現役でいつでも動作してくれる。さすがに新機種導入後は給与計算、画像スキャンのバックアップ用マシンとなっているが。このマシンは7年間ノントラブルでフリーズやシステムエラーの経験が皆無なので世間の「マックは不安定、ビジネスに不向き」批判はまったく当たらないと思う。シンプルな使用スタイルならパソコンは安定するのである。不思議と地震後にマックに対する愛着が湧いて出た。また無難にいこうというそれまでの自分の姿勢が変化して積極的に新しいものにチャレンジしていく気になった。これは地震だけでなく40台という人生の時期にも関係しているかも知れない。3年前、パソコンの世界を支配していたウィンドウズにするかどうか迷った末に結局Macintosh4400を購入してインターネット時代のマックライフを始めることになった。
◎大震災の頃はまだインターネット人口が少なく主にパソコン通信全盛であった。地震後は神戸市内の電話が込みすぎて完全にダウンしていたが、パソコン通信なら市外のアクセスポイントにつないで交信可能であった。私はこの頃はまだパソコン通信をやっていなかったが、やっていればきっといろいろ役にたっただろうと思う。
◎マックが最高!と思っていた半年後には、VAIOノートにも魅せられてしまいウィンドウズ95も使い始めるはめになってしまった。「マックが最高というためにはウィンドウズを知らないとなあ」というあるマック通の意見につい心が動いてしまったというのもある。実は薄さとデザインに惚れてしまっただけという気がしないでもないが、インターネットの接続はMacOS7.6.1の環境より簡単にできてしまった。今でも愛用機となって、デジタルカメラのファイルサーバとして、またマルチプラットフォームの電子カルテシステムの実験でも活躍してくれている。
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マルティメディア、インターネットの世界にどっぷりつかってから生活におけるパソコンの占める割合が急速に増えてしまい、今では生活の大部分をパソコンが占める。好きな音楽は生楽器やアナログにこだわるくせにMIDIやHDレコーディングまでするようになった。昔の夢があまりにも急速に現実になりすぎたようには感じる。こんなこともある。たとえば、いまでは電話はほとんど使わずメール連絡だし、急なことや重大なことは電話をかけるけれども話をしながらその相手にメールで画像やHPのURLを送ったりして二重のメディアでコミニュケーションしたりしていて自分でぎょっとしたりする。2人ともインターネットにつないだまま電話しているというのも変だ。同じ画面をみながら打ち合わせをしたりする。
◎7年間使用してきたレセコンがHDの容量の関係で来年の保険改正にまでに入れ替えないといけなくなってしまった。いまさらレセコン専用機にするメリットも感じないしレセコン一台で好きなマックのハイエンド機が5台買える。しかし、今になって思えばレセコン専用機を買うことが必ずしもコストに見合わないことだとは感じない。それは今自分が実行している計画の方がハイコストかも知れないからだ。つまり最高に使いやすいレセコンを選んで、最高に使いやすい電子カルテと組み合わせようとした結果コストだけで比べると同等になってしまったのである。将来性を考えると今後パソコンによる医療情報管理はさらに進むだろうし、電子カルテもパソコン上で動くほうが便利である。だから今の中途半端な時期にもう一度レセコン専用機を買うという選択はどうしてもできなかった。コストパフォーマンスだけで考えれば紙カルテとパソコンによるレセプト作成というのが一番いいのかもしれない。こういう合理的な考えで納得できるなら非常に楽かも。しかし私自身が納得できたのは電子カルテ自作と市販レセコンソフトの組み合わせであった。
◎レセコンは自分で毎年法改正に対応するとなるとたいへんな作業なので、コストがかかっても業者に任せたい。将来、電子カルテが主体になるを考えると電子カルテ機能のあるレセコンソフトの中から商品を選ぶことを考えたが、3社のデモ版を使ってみて残念ながら市販の電子カルテには自分の基準をクリアするものがなかった。レセコン専用機やレセコンソフトについては各社のデモをひととおりやってもらい、レセコン機能のみのソフトならスタッフも私も納得できる商品が見つかった。そんなわけで電子カルテについては、苦労して自作する道に踏み込んでしまった。
◎電子カルテは自分で作った方がトラブルに対処しやすいし、自分の使い勝手のいいようにインターフェースを変更できる。それにファイルメーカーProを使えばマルチプラットフォーム対応で、ほかのデータベースとの連携も高度なテクニックを使えば可能であるから、私なりに合理的だと思ったのだ。
◎別に今すぐ電子カルテを始める必要はないのに、思い立つとじっとできない。最初はとりあえず試しにやってみようということで楽しんでプログラムしはじめた。カレンダーを作ったり、Do処方をファイルメーカーで可能にするプログラムを組むのは非常に楽しかった。いままで使っていた年齢計算や肥満度の計算も取り入れた。わずか2週間でほとんど電子カルテの形ができあがってしまった。完成度が高まってくるとどうしてもそれを実際に使いたくなってしまう。
◎「紙カルテと併用すればいいや」と思って電子カルテを使い始めると、すぐに紙カルテと二重に記載するなんてことがばからしくなってくる。ましてや紙をたくさん使って電子カルテの内容をプリントアウトするのは私の性に合わない。それからは本格的に電子化するために、私自身が一番苦手な地道で細かい部分改良やマスター入力作業の苦行の毎日であった。当院は超多忙な医院ではないが、決して超ひまな医院でもないので診療とプログラム、入力の両立はたいへんだった。データのバックアップ方法を決めて、最低限の安全性が確保できたので結局レセコン入れ替えに先駆けて1999年10月1日から診察室の机ではほとんどマウスとキーボードだけで仕事をすることに相成った。本来予定ではレセコンからデータをいただいてマスターを作成して、電子カルテを後から連携して楽するつもりだったのに。。。
◎そんなわけで今はとりあえず手持ちのMacG3
400MHz、iMac、4400、VAIO505EXの4台とレセコン専用機一台で電子カルテシステムを組んだ。
◎紙カルテに記載することをやめると、電子カルテデータはバックアップの問題だけではなく、信頼できるシステムにのせる必然性が出てくる。停電、ハードディスクやパソコンのトラブル、OSのフリーズなどの対策もしないと安心はできない。すると大病院でも通用するレベルのサーバクライアントシステムを組むことになってしまった。というか、LANを組むとなるとイントラネットのトラブル対策まで考えないといけなくなるので、スタンドアローンでパソコンを使用するのとは桁違いのハード構成になってしまうのである。
◎WindowsNTでレセコン、電子カルテを別々のサーバ専用機にのせ、RAIDレベル5、DATバックアップ、受付のレセコンクライアント兼電子カルテクライアント1台、診察室のレセコンクライアント1台(電子カルテクライアントは現行のマック)、処置室の電子カルテクライアント1台ということになってしまい、マックをメインで使用してきた自分の力量を超えるものとなった。ウィンドウズとマックを混在させるLANはさんざん実験を重ねたのであまり問題はないが、機器の構成を決めるのは自力では無理なのでネットワークショップのプロに頼んで信頼性の高いハード構成を決めてもらった。先日、いよいよ見積もりがファックスでかえってきた。パソコン一台にレセコンソフトをいれて使うだけなら、コストを最低100万円以内におさえられたであろう。今回の初期投資総額はレセコンソフト200万円、ハード300万円となり、総額500万円を超えてしまった。カルテを完全に電子化しても問題ないレベルの安定性達成、機器の保守を簡便にできること、と将来性にこだわった結果である。おりしも台湾に大地震がおこり、メモリーが急高騰しはじめたのも響いた。
◎いままでのレセコン専用機はピアツピアのLANを組んでいたがこの2台だけでで500万円を上回っていた。しかもブラックボックスのために十分活用できなかった。しかし今回計画したシステムは、おそらく市販のレセコン専用機と今後出てくる市販電子カルテシステムの組み合わせより使い勝手がよく、今後の拡張性や柔軟性ではるかに勝っているであろうし、投資額も抑えられたのではないだろうか。なによりもパソコンでやれるので自分ですべて管理できるメリットが大きい。
◎しかし自分の選択が必ずしも最良であるとは考えていない。レセコン専用機と紙カルテの組み合わせはとにかく気楽である。またパソコン1台にレセプトソフトというコスト重視の考え方も合理的である。要は医療機関それぞれのニーズの問題であろう。しかし私は変化せずに仕事をつづけることのできないタイプの人間である。
Oct.1st.1999