高尿酸血症|循環器内科|内科|福井クリニック
078-612-0101

生ビール

 高尿酸血症 

 尿酸値は検査値の中で軽視されがちですが、最近尿酸は痛風だけではなく、腎疾患、高血圧、心不全、心房細動の原因と考えられています。尿酸値の正常値は7.0以下とされていますが、実際は6.0が治療目標値と考えられており、 正常値は6.0以下と考える専門家が多いです。これらの疾患を予防したり、改善したりするために使用されるキサンチンオキシダーゼ阻害薬といわれる薬が非常に有効であることがわかっています。

 食事療法

 尿酸値を正常に保つためには、清涼飲料水やビールの過剰摂取をさけ、バランスの良い食事と適度な運動が有効です。清涼飲料水には果糖が含まれており、果糖摂取が多いと尿酸値が高くなります。またビールにはプリン体が多く含まれており、これも尿酸値を上げる原因となります。アルコールの過剰摂取でも尿酸値は上昇することが多いです。我が国では昭和初期まで、痛風患者がほとんどいなかったことが知られており、 尿酸値が高くなったことと生活の近代化が関連していると考えられます。

 

 運動療法

 

 週、3回以上の有酸素運動(ランニング、ウォーキング、水泳)は尿酸値を下げるのに有効です。食事療法とあわせて行いましょう。  

 

 キサンチンオキシダーゼ阻害薬による治療

 キサンチンオキシダーゼ阻害薬は肝臓における尿酸生成を阻害する薬です。 従来から使用されている痛風や高尿酸血症治療薬です。尿酸を排泄するタイプの薬もありますが、  それよりもキサンチンオキシダーゼ阻害薬はメリットが多く、多くの生活習慣病患者さんやメタボリック症候群の患者さんに使用されています。ただ、従来からあるお薬はまれに重篤な副作用を起こすことがあり、投薬には躊躇することが多くありました。 尿酸値はできるだけ低くすることが理想ですが、副作用のリスクを考えると安易に投与できません。ですから尿酸値が8.0以下程度の患者さんは放置されている場合が多いように見受けます。

   

 最近、新しいタイプのキサンチンオキシダーゼ阻害薬が登場し、現在では投薬が可能になっています。 これらの薬剤では、重篤な副作用がなく、非常に安全に尿酸値を下げることができます。それでも、急激に尿酸値を下げれば、痛風発作が誘発されることがありますから、投与量は徐々に増やして目標の尿酸値を達成させるようにします。

 痛風

 痛風発作では主に足の関節が腫れ上がって、激痛が出現します。いきなり何の誘引もなく起こるのが特徴です。原因は尿酸結晶が関節内に析出して炎症を起こすことです。血液検査で尿酸値が低い場合もありますが、尿酸値は変動するため、低い場合でも尿酸値を下げる治療を行います。しかし、発症時に尿酸値を変動させると発作を誘引することになるため、発症時は発作時に使用する特効薬を用います。 これは昔からあるお薬ですがとてもよく効きます。たくさん使うと下痢をしますので、鎮痛剤やステロイドを使用する場合もあります。 

 高血圧症

 高血圧症で、尿酸値が6.0を超えている場合にキサンチンオキシダーゼ阻害薬を併用します。血圧を下げ、腎障害、心不全、心血管イベントを防ぐ効果があります。 

 心房細動

 高尿酸血症は、心房細動の原因です。尿酸値の目標は6.0以下ですから、これを達成するためにキサンチンオキシダーゼ阻害薬を使用します。血圧を下げ、腎障害、心不全、心血管イベントを防ぐ効果があります。 

 慢性腎疾患

 キサンチンオキシダーゼ阻害薬は、アルブミン尿を改善する作用があり、腎機能を改善させます。 

 心不全

 高尿酸血症は心不全の原因です。またキサンチンオキシダーゼ阻害薬を投与することで、心不全のマーカーであるBNPが改善し、ラットでは心臓重量が減少することが示されています。つまり尿酸値を下げることは心不全を改善する作用があります。